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zoom RSS 風力発電に脅かされるハチクマ1万kmの渡り

<<   作成日時 : 2017/07/19 11:28   >>

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佐世保市の「木場山」や「板山」などハチクマの渡りのメインルートに風力発電建設の計画があります。
そこで、ハチクマの渡りを知ることによって風力発電が渡りにどのような影響を与えているのかを考えてみましょう。


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・佐世保はタカ道のジャンクション
 市内では、241種の野鳥が確認されています。これまで確認された野鳥を生活型に分けると、留鳥23%・夏鳥7%・冬鳥33%・旅鳥37%となります。旅鳥が37%と最も多くなっています。これは本市が本土の最も西に位置し、大陸に近いためでしょう。
 一般的には余り知られていないかもしれませんが、佐世保市は小型のタカのアカハラダカの渡りが観察されることで全国的に有名で、特に交通の便が良い烏帽子岳や冷水岳には、9月のシーズンになると全国からバードウオッチャーが訪れます。
国内で繁殖し、越冬のために東南アジア向かうハチクマと朝鮮半島等で繁殖した(*)アカハラダカが日本を経由して同じ東南アジアへ向かう途中に佐世保で合流します。さながら高速道路のジャンクションの様です。
 アカハラダカの渡りのピークは9月10日〜20日。ハチクマは9月下旬です。
*宮古野鳥の会顧問の久貝勝盛さんはアカハラダカの渡りの本流はハチクマと同じではないかと推測されています。

・渡りの発見
 この季節アカハラダカが大量に長崎県の上空を渡ることが知られたのは、日本野鳥の会長崎県支部の竹上修・谷口秀樹さんが1985年9月14日に諫早市の五家原岳山頂で13,000羽を、同日に西彼県民の森で村山和聰さんが5,000羽のアカハラダカが渡るのを観察したことからです。
 ハチクマについては、谷口秀樹さんらが1989年9月24日に1,251羽のハチクマが福江島の大瀬崎を大挙して飛び立つのを観察しています。
長崎・五島列島 福江島の博物誌(http://fukuejima.la.coocan.jp/)を公開されている上田さんによれば、1994年から続く大瀬崎での調査における最高記録は、2008年度の22,952羽、昨年2015年は15,657羽と集計されています。
 日本野鳥の会長崎県支部では1985年のアカハラダカの渡りの発見を機にタカの渡り調査を続けています。私も以前は会員でしたので、タカの渡りの季節は楽しみで、9月〜10月中旬には国見山・烏帽子岳・冷水岳・志々伎山(平戸)などで調査に参加していました。
さて、今回主に紹介するハチクマは、日本では初夏に夏鳥として渡来し、九州以北の各地で繁殖します。ハチクマは、ハチ類の蛹や幼虫を主食にするタカ科の鳥で、英名では「Oriental honey-buzzard」です。
 餌がなくなる9月中下旬から10月上旬に、本州から九州へと向かい、中国・ラオス・ベトナム・マレーシアを経由しインドネシアへ渡っていきます。

・ハチクマの秋の渡り
 2012年にハチクマプロジェクト{慶應義塾大学SFC研究所生物多様性研究ラボ(樋口広芳慶應義塾大学特任教授)}がハチクマの渡りを衛星を使って調査しました。その時の情報は、web上で公開されており、「ハチクマプロジェクト2012」で検索出来ます。
 発信器を付けたのは4羽の成鳥です。愛称・放鳥日・放鳥場所・性別に記します。
・ケン(紺)・2012/6/22・青森県黒石市・♂ ・ナオ(赤)・2012/6/22・青森県黒石市・♀
・クロ(紫)・2012/6/20・青森県黒石市・♂ ・ヤマ(青)・2012/6/30・山形県西置賜郡・♂

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(図1)2012 秋の渡り

 図1は発信器を付けたハチクマが飛び立ってから、越冬地に到着するまでの軌跡です。
 ハチクマは日本列島を南下して九州に入り、佐世保市を通過し五島列島の西から海上へ出ます。そして、東シナ海約700qの海上を越え、中国の長江河口付近に入ります。その後、中国のやや内陸部を南下し、インドシナ半島、マレー半島を経由してボルネオやフィリピン、あるいはジャワ島や小スンダ列島にまで到達して、渡りを終えます。総延長移動距離、約1万キロ。約1ヶ月の旅です。
図2の佐世保市付近の軌跡を詳しく見ると、ケン・ナオ・クロの3個体が揃って国見山〜将冠岳〜大崎半島を通過。別のルート(熊本経由)で来たヤマは天草からわざわざ俵ケ浦半島まで来て上五島へ渡っています。
 多くのハチクマ個体群の中から、たまたま標識された3個体が国見山〜将冠岳〜大崎半島を通過していると言うことは、渡りのメインルートではないかと思われます。

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図2 佐世保の上空はメインルート

・気がかりな障害物
 渡り鳥が多く通る場所は風況が良いために、風力発電の建設にとっても良い場所となります。
 国見山にも風力発電の計画がありましたが、当会と伊万里の方々と力を合わせ撤退させました。しかし、別の業者が建設すると言う話が度々持ち上がります。
 また、世知原町板山茶園にも2機の風車建設計画がありました。建設計画地には近隣に住居があることから、「世知原町の自然と生活環境を守る会」の方々の反対署名を受けて頓挫しています。地権者は誘致を続けていますので、まだ安心出来ません。 板山の風力発電予定地をナオとクロが通過していますので、ホッとしています。とにかく、片道約1万キロを渡る鳥たちの障害をつくることのないようにせねばと思います。
*板山は2000kw1機。新たに木場山に風車4機が建設される計画が分かりました。(18日掲載のブログ)

・渡りは春と秋でコースが違う
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図は春の渡り

 インドネシア辺りで越冬した個体は、再び繁殖地の日本を目指します。渡りは2月の中下旬から3月に始まります。マレー半島の北までは、秋の経路を逆戻りしますが、その後、インドシナ半島などで、1週間から1ヶ月の滞在をしたのち、中国の内陸部を北上し、朝鮮半島の北部に至ります。
 つぎに、朝鮮半島を南下し、朝鮮海峡を越えて九州に入ります。ここで東に進み、繁殖地の長野県や山形県、青森県などに戻ります。
 ハチクマは秋と春で渡りの経路を大きく違えています。南下する際に最も危険なのは大瀬崎から中国までの東シナ海です。あまり羽ばたかずに風に乗りながら移動することの多いタカ類にとって、島影のない約700qの海上をいかに渡るかです。
 ハチクマプロジェクトによれば、「東シナ海の秋と春の気象条件、とくに風向と風力について調べたところ、ハチクマが大陸に向かう9月中下旬から10月上旬にかけては、東からの風がかなり安定して吹いています。ハチクマは、この追い風を利用して、西に向かって移動しています。」
 陸上では、山に沿って出来る上昇気流を使って移動していますが、海上では安定的に吹く追い風を利用していたのです。
 ハチクマが渡る5月には、東シナ海の気象条件は不安定で、約700qの海を越えるのは危険なため、大陸内を大きく迂回し約170qの朝鮮海峡を渡った方がはるかに安全です。
それにしても、渡りの経験の無い若鳥が渡りのルートをどうして知るのか。秋の渡りの際は成鳥と若鳥が混じって渡るので、若鳥は成鳥に付いていけば良いのかと思いますが、経験の無い春のルートをどうして知るのか? 成鳥がリードする? また、どうして放鳥地に再び戻ることが出来るのか?  
自力では遠くへ行けない人間には理解できないことです。
 気になるのは、ナオ(6/6 韓国)とクロ(4/3 タイ国境付近)がこの日付以降の軌跡が記録されていないことです。共に成鳥なので一度は渡りを経験しているので、とても気になります。
 通信が取れなくなったのか? この辺で渡りを止めとくか・・・? 最悪、密猟によって命を落としたのかも知れません。
 また、タカの渡りをより詳しく知りたい方は、以下のブログやホームページをご覧になって下さい。
赤腹鷹柱 http://akaharadaka.blog.fc2.com/
タカの渡り全国ネットワーク http://www.gix.or.jp/~norik/hawknet/hawknet0.html

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