長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産のゆくえ

長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産の構成資産である「(1)黒島の集落」「(3)野崎島の集落跡」を囲むように大型風力発電が計画。
環境アセスメントが終了していないにも関わらず、宇久島風力と平戸南風力は海底ケーブルの敷設を始めている。

画像

(1)平戸南部風力発電事業
長崎県佐世保市黒島から約10km離れた平戸南部風力発電(風力発電機17機)。

(2)西海市江島洋上風力発電事業
長崎県佐世保市黒島から、約20km離れた西海市江島には海上に最大50機が建設される計画。黒島の集落からよく見える場所です。

(3)宇久島風力発電
長崎県北松浦郡小値賀町野崎島の集落から約10km離れた宇久島に最大50機が建設される計画。


画像


画像

http://ojikajima.jp/category/nozakijima/nozaki 「おぢかアイランドツーリズム」より転載

イコモス本部と連絡が付き5月16日に英文で送る。

世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が2018年7月に登録されましたが、構成資産の周辺に大規模な風力発電計画が次々に進められています。

2018年7月に世界遺産に登録されました。その際に追加勧告として「『世界文化遺産の遺産影響評価に関するガイダンス』(2011)に基づき,遺産内における新規の開発事業について影響評価を行うこと。」とされており、長崎県では「資産内外に関わらず、資産に負の影響を与える可能性がある開発行為について遺産影響評価を行う」としています。しかし、平戸南及び宇久島(寺島を含む)の風力発電計画では遺産影響評価が終わらないうちに、事業者は海底ケーブルの敷設など工事に着手しようとしています。これはUNESCOの追加勧告に反するものではないでしょうか。ちなみにこの両件は環境影響評価も完了していません。

さらに2017年に世界遺産に登録された「神宿る島」宗像・沖ノ島関連遺産群については「洋上または陸上における風力発電施設の建設について、「適切に制限されている」とするだけではなく、資産範囲及び緩衝地帯、さらには資産範囲外であっても構成資産の視覚的完全性に影響を及ぼしうる範囲において、完全に禁止すること。」という一文がイコモスの勧告に付記されているようです(文化庁の発表資料にあり)。

「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の場合、構成資産を囲むように複数の大型風力発電所が建設されてしまい、現地調査時と異なる景観となった場合、視覚的完全性を損なうことになり、世界遺産の登録が抹消されるのではないかと大変危惧しています。特に黒島の集落の南に浮かぶ江島沖海上風力発電計画は、江戸時代以来変わらなかった黒島からの景観に大きく影響するものであり、視覚的完全性を損なうものではないでしょうか。さらにこの海域は潜伏キリシタンが外海から五島列島へと移住した航路にあたり、顕著な普遍的価値にも記されている移住という重要な歴史を物語る場といえます。

このように着々と進められている宇久島風力発電、平戸南風力発電、江島沖海上風力発電の計画は、UNESCOの勧告に反するものであるとともに、『世界遺産条約履行のための作業指針』「Ⅳ 世界遺産一覧表登録資産の保全状況に係るモニタリング」172(*)にも違反しており、遺産の視覚的完全性を脅かすものであることに重大な懸念を表明するものです。

なお、宇久島と寺島には総計770ha(東京ドーム150個分)480MWの大規模な太陽光発電所建設が進められています。こちらは構成資産「野崎島の集落跡」の重要な要素である沖ノ神島神社から見えるにも関わらず、遺産影響評価の対象外とされ、今年度末には送電用海底ケーブルが敷設される予定です。この太陽光発電所の建設についても、沖ノ神島神社からの視覚的完全性を損うものであり、遺産影響評価の対象とすべきではないかと考えています。

*「Ⅳ 世界遺産一覧表登録資産の保全状況に係るモニタリング」172
締約国等からの情報収集
172.
世界遺産委員会は、条約締約国が、資産の顕著な普遍的価値に影響する可能性のある大規模な復元又は新規工事を、条約の下に保護されている地域において実施する場合若しくは許可しようとする場合は、その旨を事務局を通じて委員会に通知するように要請する。資産の顕著な普遍的価値の十分な保存を担保するための
適切な解決策の検討について委員会が支援を行うことが可能となるように、できるだけ早い段階で(例えば、具体的な事業の基本(計画、設計)書を起草する前に)、また、変更不可能な決定を行う前の段階で、通知することが求められる。

*宇久島風力発電については以下を参照
 https://furusatoiine.at.webry.info/201805/article_3.html


                ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

日本イコモスと文化庁へ通知 

世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が2018年7月に登録されました。
当会は長崎県県北地域を主に活動している県内最大の自然保護団体です。性格上、市・県・国の自然保護関係の担当者や要職にある方々と接触します。
ある方から昨年5月に以下のような事実を知らせて頂きました。詐欺的な行為で大変驚きました。
このことをお知らせすべきか躊躇しておりましたが、大型風力発電やメガソーラーの建設により視覚的完全性を損ない世界遺産の登録解除となれば、純粋に地域文化継承のために努力して来られた多くの方々が失望することになります。
このようなことで、お知らせをすることに致しました。

「ICOMOSのUNESCOへの勧告に向けての現地調査では、各市町が自分の区域の構成資産とその資産に負の影響を与える懸念のある自分の市町内の施設等限定の説明を行う形式だったとのこと。
そのため、小値賀町は宇久島風力発電が着工された場合の構成資産である野崎島への影響懸念について、佐世保市が強力に推奨している計画なので、自らの立場での懸念説明をICOMOS調査官に出来なかったとのこと。
一方、佐世保市は九十九島の一つの黒島が構成資産となりますが、市が推進している宇久島風力発電計画は黒島からは平戸島南端に隠されるため、構成資産としての黒島には障害とならないので説明していませんでした。
佐世保市幹部は、宇久島風力発電及びメガソーラー、黒島文化遺産の3兎を狙っています。
その一方で、黒島に影響を与える南平戸風力発電計画を推進する平戸市は、資産の聖地安満岳山頂から南平戸風力発電は、背後のアカガシ林で望見されないことから詳細説明はせず、山頂から望見される生月島風力発電5基を3基に減らし白以外の色彩変更も検討との説明を主としICOMOS調査官に問題なしとされたということ。
そして個別バラバラに自治体が説明した後で、とりまとめの長崎県は宇久島風力発電についてはICOMOS調査官に特段の説明しなかったことから、ICOMOSは宇久島風力発電計画(南平戸風力発電計画・江島沖洋上風力発電計画)を知らずに、UNESCOに登録勧告を行ってしまった、そして関係者によるとICOMOSは相変わらずその計画を知らないままのはずとのことです。
また、長崎県主導で作成された政府推薦書にも本件は触れていないということであり、勧告通りUNESCOが登録決定をしてしまいました。」

このようなことから、現在、「宇久島風力発電・平戸南風力発電・江島沖洋上風力発電」の計画が着々と進んでおり、特に宇久島風力発電・平戸南風力発電所は環境アセスメントが完結していないのにも関わらず、今年5月には海底ケーブルの敷設を始めるという、法に抵触する行為も行われようとしています。

なお、宇久島と寺島には総計770ha(東京ドーム150個分)480MWの大規模な太陽光発電所建設が進められています。こちらは構成資産「野崎島の集落跡」の重要な要素である沖ノ神島神社から見えるにも関わらず、遺産影響評価の対象外とされ、今年度末には送電用海底ケーブルが敷設される予定です。この太陽光発電所の建設についても、沖ノ神島神社からの視覚的完全性を損うものであり、遺産影響評価の対象とすべきではないかと考えています。
                                                  


"長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産のゆくえ" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント