伊島のヤギによる植生変化

久し振りに九十九島の伊島(国立公園内)に調査に出掛けた、私とkさんは何度も渡島しているが、メンバーの県職員・環境省職員・植物の専門家・両生は虫類・昆虫類の専門家は初めて。
それぞれに、目的があっての渡島である。
私は、カラスバトとクロサギの繁殖状況と植物の調査。島に着くとヤギが18頭いたのに驚いた。久し振りの渡島(多分10年位)そのときは年老いたヤギが二頭いただけで、植生への影響は余り感じられなかった。
ヤギが多数いたので、鳥の調査は止めて島全体を歩いてヤギによる植生変化を調べることにした。
東側は林が海に迫り場所によっては満潮時は林の付近まで海水が来るが、南西側には閃緑岩の岩が転がり林から海まで若干の距離がある(航空写真参照)。
調べた植生への影響をざっとまとめた。(県職員・環境省職員はどのように感じられたでしょう)。
①初めて記録された植物
食害により、林縁が明るくなり、ケカタバミ・シマトキンソウ・コナミキ(国VU・県EN・市CR)
*チョウセンテイカカズラ(ヤギとは関係ない)
②増えた植物
東側の山際の樹木を食べているので林縁が明るくなり、少なかったヒメキランソウ(県NT・市EN)
が10倍以上に増加。
③食害により絶滅した植物
ハママツナ(県NT・市VU)・アイアシ(市NT)・ミヤコジマツヅラフジ・シャク
④被食により減少した植物
ハマオモト(市NT)・カカツガユ・ハマヒルガオ・ハマボウ(県NT・市NT)・ハマウド・フサスゲ(県NT・市CR)
⑤食害に遭った植物
トベラ・シャリンバイ・ハマヒサカキ・カカツガユ・ススキ・ヒゲスゲ・イソアオスゲ・カンコノキ・ノイバラ・テリハノイバラ・ハマボウ・アコウ・ハマボッス
⑥九十九島ではシカが食べない植物をヤギが食べている
ハマオモト(ヒガンバナ科)・サカキカズラ(キョウチクトウ科)・イワタイゲキ(トウダイグサ科)・ハマゴウ(クマツヅラ科)・・・有毒植物も徐々に食べて体を慣らし、平気で食べれるようになるとのこと。
*野崎島ではハマゴウを鹿は食べない。九十九島ではイワタイゲキ・ハマオモト・ハマゴウを鹿は食べない。
⑦食害に遭っていない植物
ヒメキランソウ・コナミキ・ハンゲショウ・ネコノシタ・ヒトモトススキ・サルトリイバラ・ムサシアブミ・ナンゴクウラシマソウ・ハマナデシコ・オニヤブソテツ・ナツフジ・ツボクサ・ニオウヤブマオ
★特記(希少な生物の発見)
植物ではタチハコベ。ニシヤモリ。チョウセンテイカカズラは丸島と2カ所。

<伊島の航空写真>
伊島鳥瞰-550.jpg

<コナミキはこれまでなかった浅島でも見つかった・・シカもヤギも食べない>
コナミキ (10)-550.jpg

<ヒメキランソウ(シソ科)キランソウと違い長いシュートを出して広がっていく>
ヒメキランソウ (10)-550.jpg

<10年ほど前にいたヤギ>
ヤギ1-550.jpg

<ハマヒルガオ群落・・・消滅している>
ハマヒルガオ2-550.jpg

<溜池の側に生えるフサスゲ・・・現在は細々と生育している>
フサスゲ2-550-2.jpg

<ハマオモトの葉が食べられ偽茎だけ残っている>
ヤギ被害 (7)-550.jpg

<トベラ・シャリンバイが枯れている>
ヤギ被害 (9)-550.jpg

<上陸地点 10年ほど前の様子。ここにはハママツナ・アイアシ・ハマウド・ナガミノオニシバ・ハマオモトがあり、アイアシ中にはフトヘナタリもいた・・・今は全くない>
伊島94.5.28-550

<ニシヤモリ・・M先生大喜び>
ニシヤモリ (7)-500.jpg



























































大潮の調査

春は潮が大きく、気温や水温も上がるので潮間帯の生物から潮上帯の生物が活発に動き出す。
5月中旬の大潮で俵ヶ浦半島・日野町の海岸3カ所を歩いた。
俵ヶ浦半島ではカブトガニ2個体、日野町ではテングニシの産卵・イソアワモチ。植物ではハマサジ・カノコユリが、市内で2カ所目のヒロハネムが確認出来た。

<テングニシ(エゾバイ科テングニシ亜科)本種は有機スズ(船底塗料)等の環境ホルモンの影響でインポセックス化し急速に個体数が減少した。早岐瀬戸や大村湾では多少見られていたが市内では殆ど見ることが出来なかったが、近年少しずつ回復している。今回は運良く産卵中の個体を含め4個体が見られた。年配の方はウミホウズキが懐かしいのでは。(国NT、県CR、市VU)>
テングニシ (18).JPG


<イソアワモチ(ドロアワモチ科)市内では普通種の本種より希少種のドロアワモチの方が多い。恥ずかしながら、随分以前はヤマトウミウシと混同していた。ドロアワモチやセンベイアワモチに比べると驚くほど動きが速い>
イソアワモチ (55).JPG



<クロコハゼ(ハゼ科)体長は5cmほど。河口付近の泥底に生息する。本種は正式に分類学的記載が行われていない「未記載種」で、幾つかの種が含まれているとされている。近年分布域が北上している。市では2カ所目の記録(県NT)>
クロコハゼ (11).JPG


<カブトガニ(カブトガニ科)俵ヶ浦半島では数カ所で見られるが10~12令位の個体しか見たことがない。繁殖期に探すと成体も見られるのかも知れない。(国CR+EN、県EN、市 CR)>
カブトガニ (12).JPG


<ハマサジ(イソマツ科)2年草で潮間帯上部に生育する。以前よりも生育地が少なくなったように感じる。葉がさじ(スプーン)に似ているのが和名の由来。秋に小さな黄色い花を咲かせる。(国・県・市:NT)>
ハマサジ (2).JPG


<ヒロハネム(マメ科)市内では亀ノ子島で発見したが、その他では見たことがなかった。やっと2カ所目の生育地を見つけた。ネムノキと並んで生えており、高さ2m程の幼木である。葉を1枚頂いて長尾半島に植栽しているヒロハネムと比較をし、間違いが無いことを確認した。>
ヒロハネム (1).JPG


<付記>
24日(日)は日野町(長尾半島付近)の調査をしたが、多くの子供達(外国人もいた)が飛び込みをしたり元ノ島へ泳いで渡るなどして遊んでいた。警察官が4人来てくつろいでいる米兵と話をした後に、長尾半島へ上がっていった。私もヒロハネムの同定の為に同じ方に登っていき同定を済ませ、トイレに行った。20人程の子供達が警察官に集められ住所や名前を聞かれていた。トイレで会った中学生に何で補導されてる?と聞いたら、小学生が「海で泳ぎよったけん補導されよる!」・・・。誰かが「子供が海で泳いでいる」と警察に通報したのだろう(中学生はおとがめナシ)。
不思議なことをするものだ。自然との触れあいもこのような形で壊されて行くのか・・・。月曜日は学校でも多分怒られたと思う。
警察官に一言言うべきだったか・・と今でも気になっている。